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題名: 穴
原題: Holes
著者: ルイス・サッカー
訳者: 幸田敦子
発行: 講談社 (1999/10/25)
価格: \1,600
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【内容紹介】
「StanleyYelnats」―上から読んでも下から読んでも、じゃないな、左から読んでも右から読んでも同じ名前のスタンリーって中学生が主人公。スタンはふとっちょでいじめられっ子、しかも代々ついてないって家系なのだ。ひいひいじいさんはラトヴィアからの移民だけど、どうも国では結婚と豚を巡っていざこざがあって呪いをかけられたらしい。それ以来、イェルナッツは、いてはまずいところに必ずいあわせる一族だ。ひいじいさんは大金を儲けたけど、西海岸に移住する途中「あなたにキッスのケイト・バーロウ」という女強盗に身ぐるみ剥がれてしまった。そしてわれらがスタンリーは、なんと大リーガーがチャリティで提供した靴を盗んだ廉で逮捕され、砂漠の真ん中の矯正キャンプに送られる始末。人里離れたそのキャンプでは、女所長の指揮の下、恐るべき制裁と冒険が待ち受けていた…。
【感想】
グリーン・レイク・キャンプにようこそ! しかし湖なんかとうの昔に干上がって灼熱の砂漠になっちまったし、そこにはサソリだの猛毒黄斑トカゲなどがうようよしているから逃げ出そうなんて考えはやめたほうがいいぜ。覚悟を決めてひたすら穴を掘れ。何のためにだって?質問する奴には水が行き渡らないかもしれんぜっ。
昔々の開拓時代、グリーンレイクは確かに青々とした水を湛えており、野性のタマネギ畑まであったのです。その場所を知っていたのはタマネギ売りのサムただひとり。町の先生ミス・キャサリン・バーロウは、いつしかやさしいサムを愛するようになったのですが、それは悲劇の始まりでした。
そして今、グリーン・レイクは矯正キャンプとなり、すべて所長の専制下に置かれています。ごつい男の職員も、彼女の鋭い爪でひっかかれようが文句も言えません。矯正労働の名の下に少年たちはスコップ一本持たされてひたすら穴を掘っています。理不尽にして苛酷ではありますけど、やはりそこは少年たち、その中でさえ友情も芽生えてくるのでした。
なにしろここには「字が読めない」子すら送り込まれているのです。昨今の日本の子どものように豊かすぎて学ぶことを放棄したわけではなく、学ぶ機会が得られなかった少年がかの国にはまだいるのですね。「ついてない子」スタンリーは彼の先生役となり、存在価値を自分で見つけることができるのです。しかも、ついてるんだかついてないんだかわからないことに、どうやらとんでもない物を見つけてしまうのです。
その物体は過去と現在の架け橋です。時代を超えたふたつの物語がある一点で収束するとき、過去の悲しい恋物語が蘇り、「ついてない一族」にも光がもたらされます。その鮮やかさはなかなか。口調はさりげないにもかかわらず、視点の確かな小説と言えるでしょう。ディズニーで映画化ですって? うーん、どんなかなー。