==============================================================
題名:  カエルの学校
著者:  森荘已池
発行:  未知谷 (2003/03/10)
価格:  \1,400
==============================================================
おたまじゃくしはカエルの子、ナマズの子ではありません。
【内容紹介】
君はカエルの恋愛を知っているか。二匹はひたすらおたがいの目をみつめあうのだ。それだけで恍惚に至るという究極のプラトニックラヴ、それがカエルの世界だ。だがちかごろは人間社会の影響か、文化の進んだカエル社会もなんだか乱れてきたようなのだ。1944年第18回直木賞を得つつも郷土盛岡を動かず終生「地方作家」であり続けた著者が1952年『岩手の警察』というお堅い庁内誌に連載した「大人のための寓話」、再発見の刊行。
【感想】
 岩手盛岡は個人的には悲しき思い出の地、ああその傷が癒されるには何十年かかったことか…なんてことはどうでもいいのだけど、宮澤賢治や啄木ゆかりの土地としても知られ、優美さと荒々しさを併せ持つ岩手山を常に仰ぎ見る町です。その盛岡に住み続け、10歳年少の「親友」として賢治の死後は自分の作品よりもむしろ賢治を称揚することに力を注いだ著者もまた一徹な方だったのでしょうね。
 
 本書は、戦後やや落ち着きかけたころの世相を、アプレがえるの世界に託して描きます。もちろん人間界を風刺する!というような意図はあったのかもしれないけど、まあたぶん著者ご自身、根がビッキ好き、フドる田圃や自然の生き物好きなもので、むしろカエルたちを生き生き踊らせることに熱中してしまったようでもあります。カエル社会を理想化ベタボメするわけではなく、自然の食物連鎖の残酷さは保ちつつも「文明」を開花させるという彼らの知恵をナマズ族とのかかわりにも見ることが出来ます。それにしてもここに出て来るメスガエル(ナマズもだけど)たちはみんな強い。あのころ「女が強くなった」と言われたのは、さぞ実感だったのだろうなーと感心させられますね。


BACK1