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題名:  ブラジルの赤
原題:  Rouge Bre'sil
著者:  ジャン=クリストフ・リュファン
訳者:  野口雄司
発行:  早川書房 (2002/12/31)
価格:  \3,000
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ブロンド睫毛に飾られた美しい目をした少年。「彼ら」は少年が女性であることをたちまち見抜き、「太陽目玉」という名前を与えて友情の絆を結んだ…。
【内容紹介】
 1555年、遠くブラジルめざし、3艘の帆船がル・アーヴル港を出航した。ポルトガルが橋頭堡を築こうとしている未開の地に割り込み、南米にフランスの栄光をもたらそうというのだ。その名も「南極フランス」である。だがその地は「人食い人種」が支配し、悪疫も流行しているという。そうした中で使命の遂行のためには現地人との通訳が必要と判断され、言語習得に抵抗の少ない幼い子どもをみつくろって乗せることにした。折から庇護者を失ったジュストとコロンブの孤児兄妹は、年齢も性別もいつわりを強いられ、まだ生きている父に会わせてやると騙されて、その船に乗り組むことになった。新大陸、それは彼らにとっての新天地。そこでコロンブは生まれて初めて解放感に満たされ、自分の居場所を悟ったのだった…。
 
【感想】
 フランスの新大陸進出と言えばふつうカナダが想起されますが、本書は、ポルトガル・スペインといった当時の強国の鼻を明かすように、フランスもブラジル征服も目論んでいたという史実に基づいています。しかも危険が予想される遠征に通訳として雇われたのは、年端もいかない孤児兄妹。でもこれはきわめて論理的ですね。海外赴任された方が、わが子が現地の言葉を習得するのに合わせて言葉を覚えればいいとタカをくくってもたいてい取り残されるというくらい、子どもは言語に対する順応性が高いそうですね。
 
 史実に忠実なことを心がけたこともあり、その内容は波瀾万丈なストーリーを勝手に創るわけにもいかず、デュマを引き合いに出す宣伝文句から想像されるよりは比較的堅実に進行します。総督のヴィルガニョン提督はあくまでもコチコチのカトリック軍人、再浸礼派たちは原理主義に走り、そこにカルバン派の信徒も合流するという宗教対立が大きな要因となってきます。こうしたゴタゴタをどこまでも持ち込む「旧」大陸の連中に比べ、「インディアン」たちの自由で自然なことよ。「人食い人種」と呼ばれてはいますがそれはむしろ儀式的であり、食糧や狩猟の対象として行っているわけではないことは周知の通りです。
 さらにジャングルの奥地には二つの世界の境界に立つ白人、ペイ=ローが住み着いています。彼はヨーロッパ人でありながら積極的にこの地を選択し、『闇の奥』のような「帝国」ではなく調和世界を形作ろうとしています。現地人パラグアシュと友人となったコロンブは、ペイ=ローの理想に深く心を動かされるのでした。
 
 さて、ここからはいちゃもん。それにつけてもこの訳文のまずさはなんとかならなかったのかという気がします。会話文の直訳調はもとより、たとえば一人の老大佐を表すのに、数ページの間に「兵士」(高級将校にこれはかわいそう)「軍人」「大佐」とくるくると呼び名が変わります。あるいは題名の由来も「わからぬ」と公言するよりも、いっそのこと「太陽の眼」とでもしたほうがよかったのではないかなー。物語自体はきわめて興味深いだけに、なんとも残念なのでした。
 


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