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題名: シールド・リング ヴァイキングの心の砦
原題: The Shield Ring
著者: ローズマリ・サトクリフ
訳者: 山本史郎
発行: 原書房 (2003/12/20)
価格: \2,300
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「どうしてついてきたんだ」「わたしたち、いつも冒険をいっしょにしたじゃない」
【内容紹介】
11世紀、イングランド中世史上最大の事件である大陸からの侵攻、ノルマン・コンクェストが勃発した。この島の先住民であったケルト、サクソン、あるいは北欧ヴァイキングの子孫たちは侵略軍に追い払われ、北西部湖水地方に立てこもった。彼らはこの小さな砦を「シールド・リング(盾の輪)」と呼び、いかなる拷問にあってもその所在を明かすことはなかった。
まだ5歳たらずの少女フライサはノルマン兵の襲撃によって両親を農場とともに失い、作男グリムの手でシールド・リングに連れられてきた。ここには同じ境遇の孤児も少なからず住んでいた。たとえば「熊のビョルン」。父はノルマンとの戦いで戦死、いまは灰色の大男・竪琴の名手ハイトシンの養子となっている。
全イングランドを制圧しようとするノルマンの攻撃は次第に苛烈となり、ゲリラ戦での抵抗にも限りがあった。やがて成長したビョルンは、酒場で聞いた兵士の話をもとに、族長ブーサルに対し起死回生の策を建言する…。
【感想】
本書は、戦争孤児である少女フライサと少年ビョルンの成長に基調を置きつつ描かれる英国草創期の一断章です。この時代まだ「国家」という概念は未熟で、「ヤール(族長)」「クラン(氏族)」というケルト文学、あるいはファンタジーやRPGにもしばしば現れる用語が飛び交っています。人々にとっては、そのこぢんまりとした自分の村こそがすべての世界でした。これに対し海峡を渡ってきたノルマン人は、いかに辺境であっても反抗勢力の存在を許さず、あくまで「国」という概念を持ち込もうとします。そこには当然のことながら侵略戦争の原型が現れてきます。
先住者に残されたのは険しい地形に守られた狭い地域のみ。ノルマン王は決着をつけるつもりで大軍を送り込みます。その敵陣に潜入するフライサとビョルンの冒険は手に汗握り、「湖水地方」という美しい名称には似合わぬゲリラ戦が展開することでしょう。いかに地の利があろうともあくまで劣勢な彼らに、果たして勝機は訪れるのか。
それにしても日本列島がもう少し大陸に近かったら、あるいはむしろ中華帝国が独善的になるほど強大でなかったら、フビライだけではなく「朝鮮コンクェスト」なども発生して、歴史上民族上なかなか興味深いことになっていたのだろうな。もちろん来られたほうはたまったものではないし、こっちの仕掛けた倭乱倭寇はついにかの地に根付くことはなかった。…などとつい比較してしまうのは、それはまあユーラシアの反対側、東端の島国の読者だから思うことで、あちらは武家だけではなく子供も武器を取る総力戦を昔からやっているわけだから、喧嘩が強いはずですねー。