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題名:  ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日
原題:  When Zachary Beaver Came to Town
著者:  キンバリー・ウィリス・ホルト
訳者:  河野万里子
発行:  白水社 (2003/09/25)
価格:  \1,700
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【内容紹介】
 世界一退屈で「なにも起きない町」テキサス州アントラーに「世界一ふとった少年」がやってきた。ザッカリー・ビーヴァー15歳、292kg。ぼく・トビーと親友キャルは、さっそくそいつを見に行った。ほんとうはあこがれのスカーレットと一緒に行きたかったのだが、押しつけられたのはちびっこギャングのような彼女の妹なのだ。
 キャルの兄貴でかっこいいウェインは、ベトナムに出征中。ぼくの母は、なんと全米カントリーアマチュアミュージックコンテストに出場するためにナッシュビルまで行っている。その夏は13歳のぼくたちにとって、特別な日々だった…。
 
【感想】
 1971年、アメリカ南部。ベトナム戦争もすでに作られた大義の化けの皮が剥がれ、名目を失っていた頃のことです。舞台は、時間が止まったような南部の町、ひと気の少ないショッピングモール、いつも同じメニューのレストラン。夏の日は容赦なく注ぎ、人々の生活は同じ事の繰り返しのように見えます。しかし、少し注意してみると、やはり人それぞれの人生は動いているのです。他の人にも「人生」があることに気づくようになること、それこそが成長なのでしょう。自分だけ、自分の見えるものだけの子どもの世界から、トビーはいま脱皮しようとしています。
 初めに動いたのは母さんだったのでしょうか。あくまでシンガーになりたいという自分の夢をあきらめきれず、コンテストに応募、ついには全国大会出場まで進みます。トビーはそんな母さんが疎ましくてたまりません。そりゃそうですね。子どもにとっては親が目立つほど恥ずかしいことはないのです。せめて小説を書いたくらいのことなら、まだ救われるのですけど、人前で目立つなんて最悪。しかし、ミミズ養殖を仕事にする父にも、かつては法曹の道に進む夢がありました。トビー、それを理解できるかな?
 
 13歳、そこにはなんとなく大人の世界にあこがれて、恋をしたくてたまらないトビーもいます。しかしあこがれのスカーレットはメキシカンのフアンに夢中。ですがフアンはあることでスカーレットのご機嫌をそこねてしまいます。チャンス到来か! しかし、トビーは、フアンの持つ事情を知ることができるまでに成長することでしょう。
 
 13歳、まだまだ子どものトビー、もっと子どもっぽいキャルと一緒になってデブのザッカリーにちょっかいを出します。親代わりのマネージャーに置き去りにされたザッカリー、しかしザッカリーは堂々としています。トレーラーから一歩も出られず、嘘と悲哀、それだけが武装のはずなのに。そしてほんとうにザッカリーのして欲しいこと、少年たちはそれを実現してあげることができるでしょうか。
 
 そして、おとずれる残酷な現実、それを受け止められるまでに成長してくれたなら…。


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