不
─T氏への追悼 ─
きみの沈黙に傷ついて
空は空である深さに眩暈している?
きみへの問いかけではなく
叫びがあおさに澄まず
叫ぶ運動としてとりのこされるとき
☆
歯がたのあざやかさに
りんごは
きみの血の色に熟してゆき
手のひらの黄ばんだ白さに
しみる ものうい痛みが
芯のかたちで
何をのこそうとするのか と
☆
花火の残像!
花火師の指さきの緊張をダブらせて
うつくしい花火の残像!
☆
<……La mort,oui,la mort e'ternelle
☆
きみの眼に完結した世界を
ゆきくれる足音の
きざむ 皺のふかさに
ゆきくれているのが
きみではないと 誰がいおう
☆
きみの額の墓碑銘をめぐり
陽は翳りを見失ったまま……
☆
もっと高く
もっともっと高く
放りあげるたびに
きみの眼差しになめされて
小石が ついに
磨滅しきれない堅さそのものとなるとき
きみの沈黙の高さで
小石の軌跡は
きみの証しに供える花となるだろう
(1971)